2006年10月2日
東京・生活者ネットワーク23区ネット廃プラ問題連絡会

9月26日現在
回答21区/千代田区、中央区、江東区、品川区、目黒区、世田谷区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、練馬区、葛飾区、江戸川区(以上、中間のまとめに掲載13区)
大田区、文京区、板橋区、足立区、新宿区、墨田区、渋谷区、港区(以上、追加8区)
回答未達/中野区、台東区

各区からの回答 詳細一覧(pdfデータ)


 2000年に清掃事業が区移管され、東京23区清掃一部事務組合を設立させて23区が広域的に取り組んできた清掃事業ですが、この間、自区内処理の見直し、2006年度以降も一組を存続させること、2008年度からの廃プラスチック焼却処理の決定など、大きな方向転換がなされました。
 今回の調査は、「廃プラスチックの焼却処理」と「一組の新会社設立」について、各区長の意向を伺いましたが、こうした方向転換が必ずしも23区の意思で決定しているとは言い切れないこと、目標に向けた取り組みも23区それぞれの事情が優先され、23区が一体となってすすめられないことなど、23区清掃事業の現状と課題がクローズアップされた調査となりました。
清掃工場の運営管理と売電のための新会社は、9月26日の一部事務組合議会において設立が決定いたしましたが、区長と私たち生活者ネットワークとの懇談の中でも、提案内容が各区によく理解されていないまますすんでいることや、担当部署からの積み上げでなくトップダウンですすめられたことなど、プロセスにおける強引さを懸念する意見が聞かれました。また、一部事務組合の透明性を高める必要性についての言及が多々ありました。
 全国的にリサイクルがすすみ、23区でもごみが減っている現状が報告されています。循環型社会への道が見え始めた今、23区の清掃事業も確実にこの軌道に乗せなくてはなりません。廃プラスチックの焼却、新会社設立という、事業の大きな変革期を迎えている23区ですが、一部事務組合主導ではなく、また各区の事情のみにとらわれることなく、広い視野をもって23区が連携して変革の舵取りにあたる時です。今後の23区長のリーダーシップに期待いたします。
回答について下記のとおり、とりまとめました
T 廃プラスチックの焼却処理への転換について
QT−1 廃プラスチックを2008年度から可燃ごみに移行することに賛成か
 回答のあった21区中、18区が賛成。他の3区も賛成に近い意見である。処分場の延命のためやむを得ない、政令市のほとんどでサーマルサイクルが行われている、などが主な賛成理由。品川、目黒、江戸川、足立、新宿、墨田、港はここでも資源化や3R施策の拡充について述べている。中央、世田谷、杉並、豊島、北、墨田、渋谷、板橋は安全性や環境負荷の確認の必要性にふれている。新宿区は中防へ向かう清掃車や不燃ごみ中継所の減少効果をとともに、一般廃棄物以外のものの埋立処分量を減少させる必要性も指摘している。意見を読むと、確信をもってサーマルリサイクルを最善の策と信じて提案し、実施しようとしている区長と、やむをえない選択としている区長があることがわかる。
QT−2 容器包装プラスチックはできる限りリサイクルすべきと思うか、また現在完全実施されていない容器包装その他プラスチックの分別収集に取り組む予定は
 ほとんどの区では、容器包装のその他プラスチックはリサイクルすべきと回答しているが、実際の分別回収については、コスト面と中間処理施設確保の困難さを勘案して検討、または取り組めない状況である。資源化への取り組みをあきらかにしている自治体は、千代田区、目黒区、世田谷区、杉並区、豊島区、江戸川区、板橋区、新宿区、港区の9区。そのうち、容器包装その他プラスチックの分別に取り組むとはっきり明言しているのは、杉並区、江戸川区、新宿区の3区のみ。(練馬区では、その後第3回定例会において、その他プラスチックの分別収集に取り組むとの答弁があったとのことである。)取り組みは難しい(慎重に検討、対応)、取り組むつもりはないと答えているのは、品川、荒川区、大田区、足立区、渋谷区。取り組むとはいいながらも、検討していくという6区も含め、ほとんどの区は、検討の域を出ていない。今回のサーマルリサイクル導入の背景にあるとされる、国や東京都の審議会の答申でも、「できる限りの発生抑制を進めるとともに、それでも生じた廃プラスチックについては、再使用、再生利用(マテリアルリサイクル)、熱回収(サーマルリサイクル)の順でリサイクルを推進すべき」とされている。回答からは、23区では、できる限りのリデュース、リユース、マテリアルリサイクルがつくされることなく、燃やす方向へ向かっているといわざるを得ない。
QT−3 リサイクルのための中間処理施設確保は23区広域で取り組むべきであり、そのための支援と循環型社会形成推進交付金等の活用について、国へ積極的に働きかけを行う考えがあるか
 コスト問題の解決策として提示したが、もっとも意見がわかれた項目となった。「積極的に働きかける」は7区、「働きかけるつもりはない」が6区。働きかけない理由としては、「各区が取り組むべきである」「清掃工場のある区、ない区の公平性が課題」「自区内処理があくまでも原則」など。「自治体間の調整・働きかけがネック」という声も。各区の事情がハードルとなり、23区が一丸となって取り組むことの困難さが浮き彫りとなった。
QT−4 容器包装リサイクル法の対象外となっているプラスチック類(ポリバケツ、おもちゃなどのプラスチック製品類)のリサイクルについて、どう考えるか
 資源化の検討は必要だが、法律が整っていない現状では熱回収が適当であるというのが総意だった。大田区は製造者の自己回収等の制度・システム構築が急務、と一歩踏み込み、港区はスーパーエコタウンなどのガス化溶融発電や高炉原料などでの活用の可能性に言及。
QT−5 改正された容器包装リサイクル法について、どのように評価しているか
 どの区も一歩前進はしたが、EPRはまだ不十分。引き続き働きかける、としている。
港区は原材料の種類の制限、表示の義務付けなどの必要性にもふれている。
U 新会社設立について
QU−1 新会社の設立について、どう考えるか
また、ごみ減量と売電事業を行う会社の存続・発展は両立すると思うか
 新会社設立には、同じく、確信的に得策と考え提案推進している区長がある一方、問題ありとしている区長もあり、合意の水準は高くないと考える。「賛成」とした区は14区。「問題あり、慎重に」は千代田、中央、杉並の3区。千代田・中央は「事業の具体化について課題あり」「安全性と事業収支の見通しについて検討が不十分」としている。
「両立する」とした区は13区「どちらともいえない」が千代田、中央、目黒の3区。
杉並はごみを燃やしている範囲での売電なので「両立する」としている。荒川、練馬、葛飾はいずれにも選択がないが、新会社について理解を示す記述あり。
QU−2 各区の自治権や清掃一部事務組合のあり方などについて、考えをきく

 どの区も中間処理を共同で行うための一組については肯定しつつ、清掃事業における各区の自治権の重要性、一組の改革と透明性・情報提供の向上の必要性にふれている。江東、文京は現在でも各区が関与できる仕組みになっているとしているが、杉並区は今後、自治権拡充の中で、一組のあり方を検討すべきとし、港区は23区での十分な議論の必要性を、北区は事業運営に区の意見がより反映されるシステムを構築すべきとしている。新宿区は一組運営に構成自治体が関心をもち判断することの必要性、区長が一組の仕事を理解し参画することの大切さを指摘し、課題ある現状が垣間見えた。品川区は将来的にブロック化がのぞましいとしている。

以上